平成4年2月21日
琉球大学 尚 弘子、東盛キヨ子、山本 茂
ゲットウの有効成分の食品、医薬品、医薬部外品としての利用に関する研究
(1).実験方法
慢性毒性試験にはDDY系マウス4群(5週令、各群雌雄各5匹)に粉末飼料(日本
クレア社製)、同飼料に0.3%、0.6%あるいは1.0%のゲットウ 精油を添加した食事
を与え体重変化と肉眼的に外観を観察した。飼育は、1ゲ−ジに雄3匹、雌3匹とした。
催奇形性試験には、上記慢性毒性試験に用いたのと同じマウスから生まれた子供に
ついて行なった。
(2).結果 ( 表1・2省略 )
表1に雄の体重変化を示した。雌は妊娠などにより体重変化が大きいので省いた。
各群の体重に差は無かった。
肉眼的に見た外観にも全ての群で異状は見られなかった。
表2に催奇形性試験に関する結果を示した。出産回数・匹数、離乳匹数、生後1ケ月
の体重に差はなかった。また、全てのマウスで奇形は観察されなかった。
(考察)
慢性毒性試験および催奇形性試験の両方ともゲットウ精油含量の最高い1%
群においても異状は観察されなかった。マウスの1日の食物摂取量は約5g
である。それ故、1%群のマウスの1日ゲットウ精油摂取量は約50mg
となる。マウスの体重は約40gであるから、これは1250mg /kg体重で
ある。1日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)は最大無作用量
を1/200倍したものであるから、ゲットウ精油のADIは「6.25mg/Kg
以下」である。着香料のエチルパニリン( 10mg以下)や保存料の安息香酸
(5mg以下)、甘味料のサッカリンナトリウム(2.5mg以下)に近いもの
である。
新鮮ゲットウ葉の精油含量は0.1%であるから、もし精油が毒性の中心と
すると葉のADIは6.25g/Kg(310g/50Kg体重)となる。
調味料のグルタミン酸ナトリウムのADIが0.12g/Kg以下であることを
考えるとゲットウ葉の毒性については、先ず問題にならないと考える。